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世界金融危機はなぜ起こったか―サブプライム問題から金融資本主義の崩壊へ

  • 2009/07/24(金) 18:10:04

世界金融危機はなぜ起こったか―サブプライム問題から金融資本主義の崩壊へ
小林 正宏
世界金融危機はなぜ起こったか―サブプライム問題から金融資本主義の崩壊へ
定価: ¥ 1,680
販売価格: ¥ 1,680
人気ランキング: 4672位
おすすめ度:
発売日: 2008-11
発売元: 東洋経済新報社
発送可能時期: 在庫あり。

大胆にして緻密
現役の金融機関職員が書いた本としてはかなり大胆で、特に政府系金融機関の職員が中央銀行の金融政策や政府の財政政策について、中立的な記述とはいえ言及しているのは勇気ある行動だと思います。景気変動に政府がどこまでコミットすべきか、もう一歩踏み込んで書いてくれるともっと面白かったのですが、それは立場上できないと自制されたのでしょうか。

証券化やデリバティブはさすが専門家だけあって緻密に書かれています。自分達が日本の証券化市場を牽引してきた自負からでしょうか、「証券化」をスケープゴートにしようとする世論に敢然と反論しています。さすがに理路整然としており、読むと著者らの主張にも首肯すべき点が多々あります。

昨今の風潮としては証券化や金融資本主義は悪の権化で、アメリカ経済の崩壊とともに世界経済は恐慌に突入するといった類の本が売れているようですが、当事者として問題の本質を抉り出して、危機の悪化を防止しようとする姿勢がかえって清々しく感じられます。全体にバランス感覚に優れた著作だと思われます。

オーソドックスな解説
読んで安心感があります。「アメリカ経済は崩壊して、ドルは暴落、世界経済は大恐慌に突入」とショックを煽るのではなく、何が問題の根底にあり、日本がどうすべきなのか、真正面から取り組んでいます。何の客観的なデータもなしに持論を展開する本が多い中で、主張するところはきちんと論拠を示しており、違和感なく読めます。

CDSやカバードボンドのように非常にテクニカルな話題から資本主義の行く末のような壮大なテーマまで扱っているのでページ数はやや多く感じられるものの、難しい話題もかみ砕いてわかりやすく説明しており、非常に参考になりました。こういう説明ができるのは金融の世界を本当に理解しているからこそなのでしょう。

小林氏は今年だけで3冊もサブプライム関連の書籍を出しているようですが、不思議なのは、大類氏も含め、これだけの見識を持った人材がこれまで埋もれていたことです(その筋では有名だったのかも知れませんが、少なくともテレビで見たことはありません)。IMFやBISの論文を多数読破しておられるようですが、これだけの本を書けるのなら、そういう世界の大きな舞台で活躍して、巻末に書かれているように、お子様のためにも日本の地位向上に貢献されることを期待します。


ここまで書くか
グリーンスパン、バーナンキ両氏を真正面から批判している。金融政策万能論者に対する批判はリチャード・クーさながら。グリーンスパン氏が変動金利を推奨したことへの批判は著者が所属する組織が固定金利の商品を扱っている関係もあるのだろう。

片や、サブプライム問題の重大性を著者は昨年夏の時点から警鐘を鳴らしていたようだが、それだけにバーナンキ氏が「大したことない」と言って事態を軽視した状況認識の甘さに対しては繰り返し批判を加えている。「住宅価格の下落がプライム層にまで影響を及ぼした時」のアメリカ人の消費行動はまさに現在進行中の出来事となっている。

住宅問題の専門家ならではの分析が随所に見られ、アメリカ人の行動様式に対する切り口はなるほどと納得させられるものがある。現役の金融機関職員が書いた文章だけに正確性を期する余り、くどい部分もあるが、戦艦大和やキリストの引用など、笑える部分もある。冬休みにもう一度じっくり読みたい本。

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